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2024.03.25
貧血の話
みなさんこんにちは。血液の病気として真っ先に思い浮かぶのは貧血ではないでしょうか?言葉としては馴染みの深い「貧血」ですが、貧血について知らないことが多いという方や、健康診断などで貧血を指摘されて気になっている方もいらっしゃると思います。このコラムでは、貧血の中でも最も一般的な鉄欠乏性貧血についてご説明したいと思います。 血液の中には生命を維持するのに必要な3種類の血液細胞が存在します(図1)。これらの血液細胞には大切な仕事があるわけですが、今回着目するのは赤血球です。赤血球の仕事は、呼吸で肺に取り込んだ大気中の酸素を受け取って、体の隅々の細胞まで届けることです。 貧血とは、酸素の運搬役である赤血球が不足して、体全体が酸素不足に陥ってしまう病気なのです(図2)。貧血になると体全体が酸欠になるため、だるい、疲れやすい、頭がいたい、少し動いただけで動悸がする、息切れがするなどの症状が出ます。これが貧血の基本的な症状です(図3)。 貧血の診断は血液検査でヘモグロビンの量を測ることでなされます。図4で示した基準よりヘモグロビン値が低い場合に貧血と診断されるのです。 では、なぜ赤血球が不足して貧血になってしまうのでしょうか?実は、血液細胞は使い捨ての消耗品なんです。たとえば赤血球の寿命は約120日です。役目を終えた赤血球が毎日200億個ずつ壊れて行くので、僕らは毎日同じだけの赤血球を新しく作って補充している訳なんですね(図4)。 赤血球を始めとする血液細胞は、骨の髄、すなわち骨髄で、造血幹細胞という血液の種になる細胞から作られています。骨髄は血液を作る工場というわけです(図5)。 赤血球は鉄とタンパク質を材料として造られますが、このときにビタミンB12や葉酸、エリスロポエチンといったビタミンやホルモンが必要になります。鉄は酸素を赤血球につなぐクリップの役目をします(図6)。これらのうちどれが欠けていても貧血が起こりますが、今回は一番頻度の多い鉄欠乏性貧血について見ていきましょう。 鉄欠乏性貧血の原因を図7に示します。このように食事から鉄分を取れていない、あるいは鉄分をちゃんと取っているのに、それ以上に出血で鉄分を失っている事が原因となります。 出血の主な原因としては、女性の場合は子宮筋腫などの婦人科疾患による過多月経が多く、男性の場合には大腸癌など胃腸の病気などが隠れていることがあります。 鉄欠乏性貧血の治療はバランスの良い食事と、必要に応じた鉄剤の内服。そして何より原因となっている疾患の治療が大切です。 今日は鉄欠乏性貧血についてお話ししましたが、たくさんある貧血のなかのごくごく一部に過ぎません。貧血は一つの病気というよりも、一つの症状と考えてもらった方がいいと思います。その原因は山ほどあって、さほど心配のないものから、命に関わるものまであります。 貧血の陰に隠れた怖い病気がないかを確認することが重要です。貧血で病院に来たのに、なんで婦人科に紹介されるの?なんで胃カメラをしなきゃいけないの?なーんて思うかたもいらっしゃったかと思いますが、今日の話をお聴きになった皆さんはなぜ、そういう検査が必要なのかが理解できたことと思います。もし、健康診断などで貧血を指摘されたら、重大な病気の発見の糸口になるかもしれません。できるだけ早く、近くのかかりつけ医に相談しましょう。 北福島医療センター血液内科 甲斐 龍幸
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2024.02.08
NST勉強会 ~褥瘡の栄養管理について~
令和6年2月1日に、NST委員会主催で職員を対象とした勉強会を開催しました。ニュートリー株式会社様より講師の先生をお招きし『褥瘡の栄養管理』について講義していただきました。 勉強会には、医師や看護師、薬剤師、理学療法士、言語聴覚士など21名の職員が参加しました。褥瘡の栄養管理に対しては、出血や浸出液がある場合、通常の食事だけでは栄養が不足してしまうことも多く、創傷のステージごとの栄養管理が必要になります。当院では、このような患者様へ管理栄養士が栄養補助食品を選択し、不足している栄養素の強化を行っています。患者様お一人お一人ごとに必要な栄養素は異なり、使用後の効果を評価しながら創傷治癒へ向けたアプローチが必要となります。患者様の一日でも早い創傷治癒に向けて、多職種協働で褥瘡の栄養管理を行えるよう今後も情報を発信していきます。褥瘡とは、寝たきりなどによって、体重で圧迫されている場所の血流が悪くなったり滞ることで、皮膚の一部が赤い色味をおびたり、ただれたり、傷ができてしまうことです。 一般的に「床ずれ」ともいわれています。NST(栄養サポートチーム)は、多職種が専門的知識や技術を持ち寄り、入院患者様の治療が円滑に進むように栄養面からサポートを行うチームです。 当院のNSTでは、医師・看護師・管理栄養士・薬剤師・臨床検査技師・理学療法士・言語聴覚士・医事課スタッフ等の多職種が連携し、患者様の状態を把握しながら、一人ひとりに適した栄養管理が行えるよう活動しています。
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2024.01.11
看護師紹介動画#3を公開しました
他業種との関わりで学んだことは?嬉しいときはどんな時?実際に働いている3年目看護師のリアルな本音をインタビュー。看護師を目指している人や、看護師の仕事についてもっと知りたい人、必見です!➡ 動画はこちら
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2023.12.20
看護師紹介動画#2をを公開しました
後輩指導頑張ってる?ここに就職して良かったことは?実際に働いている3年目看護師のリアルな本音をインタビュー。看護師を目指している人や、看護師の仕事についてもっと知りたい人、必見です!➡ 動画はこちら
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2023.12.19
第59回福島造血幹細胞移植治療研究会が開催されました
2023年12月16日土曜日にコラッセふくしまにて第59回福島造血幹細胞移植治療研究会が開催されました。職種を問わず参加できる研究会で、この日も、医師、看護師、薬剤師、理学療法士、栄養士さんなど多数の方が参加されていました。造血幹細胞移植に関連する臨床研究や、症例報告、また移植を受けた経験のある方による骨髄バンクドナー登録の推進活動などについて発表があり、熱心な議論が交わされました。今回、北福島医療センター血液内科が主幹を務めさせていただき、甲斐医師が当番世話人、志賀医師、宍戸看護師が座長として参加させていただきました。
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2023.12.18
伊達高等学校への出前授業
12月5日、私は北福島医療センターと同じく伊達市に位置する伊達高等学校で、「総合的な探求の時間」(地域探求未来学)の出前授業を行いました。この授業のテーマは「地域医療について」でした。伊達地域は県内でも高齢化率が高く、多くの人々がさまざまな支援を必要としています。特に複数の疾患を抱える高齢者の救急医療は、健康寿命を延ばす上で極めて重要です。私たちの活動は、仁泉会の理念「笑顔を咲かそう」に基づいています。この理念は、豊かな「人間性」と高い「専門性」がプロフェッショナルな看護において不可欠であることを示しています。看護は、自らを育て、充実した楽しい人生を築く一環となります。これらのポイントを、私たちの医療センターの看護部長としての立場からお話させていただきました。地域の高齢者支援や救急医療において、笑顔と専門性を結びつけ、良質で温かみのある医療を提供できるよう努めてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。看護部長 平野
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2023.11.28
オレンジは何を表す色?
「オレンジ」って聞いたら、何を思い浮かべますか?「果物?」それとも「絵の具?」...医療の世界では、「オレンジ」と聞いたら、「認知症」をイメージする人が多いです。それはなぜでしょうか? 実は、認知症サポートのシンボルカラーが「オレンジ」で、認知症サポーターの目印として使われるブレスレット『オレンジリング』からも連想されるからです。誰もが住み慣れた場所で暮らしたいと思いますよね。それは認知症の方も同じ。厚生労働省では、「認知症施策推進総合戦略~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~(新オレンジプラン)」を2015年に策定しました。これは認知症の方々の意思を大切にし、住み慣れた地域で自分らしく生活できる社会を目指すものです。全国各地で、このような取り組みが行われています。「オレンジカフェ」「オレンジフェスタ」「オレンジプラン」などと名前をつけ、年間を通して様々なイベントが行われています。最近では、地域包括ケアを支える伊達ネットワーク委員会主催の「認知症になっても安心して暮らせる地域と社会~オレンジDATEスクール~」にも、当院のスタッフが参加し、皆さんと一緒に楽しい時間を過ごしました!このイベントでは、理学療法士協会の無料ハンドブックをもとに、認知症の方々やその予防に関するお話をしました。「週3回以上の有酸素運動(ウォーキングでもOK)」「筋力運動(自分の体重を使った運動でもOK)」「運動習慣の定着/地域での活動参加」などが、認知症の予防や改善に効果的だとされています。でも、新しい研究によれば、「運動は1人で行うよりも、友達と2人以上で行う方が認知症の予防/改善に効果的かもしれない!」や「頭を使いながらの運動も効果的!」など、新しい研究の結果も踏まえてお話ししました。皆さんは「きっこう体操」を知っていますか? 「きっこう体操」は、体を柔らかく動かして心地よくリラックスできるエクササイズです。簡単な動作から始められ、特別な器具なしでできるので、気軽に取り組むことができます。この体操は、血行促進や筋力向上だけでなく、心の安定やストレス軽減にも効果があります。詳しい動きや始め方はウェブで検索してみてください。ぜひ日常の健康習慣の一環として取り入れてみてくださいね。
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2023.11.10
脳卒中の予後予測への挑戦
脳卒中患者様のリハビリは従来から盛んに行われており、その質的向上のために多くの研究が行われています。 患者の予後を正確に予測することは、目標の設定や治療方針を確立する上での重要な指針となります。例えば、発症から1ヶ月経過時に日常生活動作がベッド上での自立を達成している場合、その患者は歩行が自立する可能性が高いと言えます。逆に、60歳以上で、同じ期間で食事や尿意の訴え、寝返りのいずれか二つ以上が困難な場合、歩行の自立が難しいとされています。当院では、予後予測を基にしたリハビリプログラムを構築するための取り組みを行っており、より実用的で高い精度の予測手法を検討しています。 今年、第41回東北理学療法学術大会で、当院の理学療法士が予後予測に関する研究発表を行いました。発表のタイトルは「回復期脳卒中患者に対するADL予後予測式の妥当性の検証~当院の取り組み~」。この場で著名な先生方との意見交換が行われ、その経験は非常に貴重であり、今後の臨床活動において大きな糧になると考えています。
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2023.10.24
看護師紹介動画#1をを公開しました
看護師の仕事って、どんな感じ?患者さんの命を守る、やりがいのある仕事だけど、大変なことも多いのが看護師という職業。そんな看護師の仕事のリアルを、2年目の看護師に聞いてみました。看護師を目指している人や、看護師の仕事についてもっと知りたい人、必見です!➡ 動画はこちら
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2023.09.28
聖光学院職業体験 in 北福島医療センター
先週に引き続き、聖光学院の福祉探求コースの生徒さん達が来院しました。前回は、探求コース全員で病院全体を見て回りましたが、今回は気になる職業の仕事を実際に体験することで、実際にこの職業になった場合のイメージを掴んでもらうことを目的としました。実際の医療現場を見て、医療の大切さを学ぶと同時に、仕事に就いて実際に働くことの感覚を学んでもらいました。さまざまな医療職を身近に体験することで、自分に合った進路を見つけてもらえると嬉しく思います。最後に、北福島医療センターで働くコスチュームで記念撮影を行いました。高校生にもなると、全く違和感がないので驚きました。将来、北福島医療センターで一緒に働ける方が出てくれると嬉しく思います。また会えることを楽しみにしています。
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2023.09.20
トロミについて ~水分補給の重要性~
今年の夏は例年にない暑さにより熱中症の救急搬送に関するニュースをよく目にしました。熱中症対策の一つとして「適切な水分補給」は重要です。水分は汁物や果物などお食事でも補給できますが、それ以外の水分補給の目安は1日1200mLとも言われています。 しかし、高齢になるにつれて積極的な飲水をしたがらない傾向にあります。要因の一つとして高齢者は筋肉量の低下から、そもそもの体液量が減少傾向にあることが挙げられます。筋肉量が低下することで水分を保持する能力が低下すると考えられています。そのため、喉が渇いている感覚も低くなっているのです。 さらに、むくみ予防などで利尿剤を服用していたり、腎機能低下から尿量の増加や頻尿によるトイレの回数を気にしてしまうため、あまり水分を取らなくなると言われています。 入院している患者様も例外ではありません。ましてや、退院を目指し日々リハビリに取り組む上では適切な水分確保は欠かせません。患者様の中には、嚥下機能の低下にて「誤嚥のリスク」がある方もいますが、肺炎などを起こさないよう水分に「とろみ」をつけるなど対策をしながら安全に水分補給を行なって頂いています。 今回は回復期病棟にて言語聴覚士による科内勉強会「トロミについて~水分補給の重要性~」を開催しました どういう方にトロミが必要なのか?どうやってトロミをつけるのか?水分摂取の重要性について再確認しました。
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2023.09.15
聖光学院出張授業 in 北福島医療センター
本年度より、聖光学院の福祉探求コースと連携した高校生対象の出張授業を展開しています。本日は北福島医療センターに生徒さん方をお招きして、実際の医療現場を体験できる病院を見てもらいました。最初に、聖光学院OBの看護師から、看護師になるきっかけや、この病院に就職した思いについてお話をいただきました。年齢も近い先輩の言葉は、とても現実的であり身近に感じたことと思います。その後は、普段は患者さんからは見えない現場を見てもらいました。今まであまり知らなかった臨床検査技師・診療放射線技師・薬剤師の職場を見ることで、どのように医療現場が運用されているのかを実感できたと思います。来週は、興味のある部署で実際に体験して医療現場を学んでいただきます。病院の実際を見ることで、伊達市の未来を共に見つめていけたらと思っています。