乳がんを知ろう
乳がんってどんな病気?
乳汁を作る腺房が集まった小葉と、乳汁を運ぶ乳管を合わせて乳腺といいます。乳腺から出てきた癌を乳がんと呼びます。日本人の9人に1人が乳がんになると言われています。意外と身近な病気ですね。日本人の女性の罹患率の第1位は乳癌です。死亡率は大腸、肺、膵臓に続いて第4位です。ステージ0の乳がんは、ほぼ根治可能であり、小さいうちに見つけられれば90%近く「治るがん」です。乳がんは、ひとそれぞれ広がりや性質が異なります。ひとりひとりに合った治療を行います。
どんな検査があるの?
マンモグラフィー検査や乳房超音波検査があります。検診マンモグラフィーは40歳以上の方が対象となります。症状のない乳がんはマンモグラフィー検査で見つかることが多いです。
その他より詳しく検査するために、CT検査や乳房MRI検査を行います。
生検方法は、細胞診、局所麻酔を用いた針生検・ステレオガイド下吸引式針生検があります。
どんな手術をするの?
乳房内のがんの広がりによって、温存手術(部分切除術)や全切除術を行います。脇の下のリンパ節に転移が疑われる場合は、腋窩リンパ節郭清を行います。転移はなさそうだと診断できた場合は、センチネルリンパ節生検といって、リンパ節の一部を摘出して検査をします。部分切除の場合、入院は1週間程度、全切除や腋窩リンパ節郭清を行った場合は10日〜2週間程度の入院です。再建手術を希望される場合は他院へご紹介いたします。
どんな症状がでるの?
乳がんの症状は小さいうちは無症状です。しこりや、皮膚のひきつれ、乳頭から血のような分泌物がある、といった様々な症状があります。
乳がんは遺伝するの?
血縁者で乳がんにかかったことがある人がいると、そうでない人より約1.9倍乳がんにかかりやすいというデータがあります。また、生まれ持った遺伝子に変異があり、乳がんを引き起こす遺伝性乳がんがあります。遺伝性乳がんは全乳がんの10%程度です。その約半分がBRCA遺伝子の変異が原因とされています。
BRCA遺伝子って?
BRCA遺伝子は遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)の原因遺伝子です。変異があると乳がん、卵巣がん、前立腺がん、膵がんなどの癌になりやすいとされています。乳がんにかかった人で下記のいずれかを満たせば保険で検査ができます。
- 45歳以下での発症
- 60歳以下のトリプルネガティブ乳がん
- 2個以上の原発乳がん
- 第3度近親者に乳がんまたは卵巣がん発症者がいる
- 男性乳がん
また、BRCA遺伝子に変異がある乳がんの方に使用できるオラパリブという薬を使うため、再発リスクが高い方、再発乳がんの方、卵巣がん・卵管がん・腹膜がんを発症したことがある方も保険適用となります。