栄養科

栄養科の役割
私たち栄養科は「美味しい食事の提供」と「個々に応じた栄養管理」の理念のもとに、食事が患者様の入院生活の活力となり、栄養状態が改善することで早期退院へと繋がるよう日々奮闘しています。
栄養科の取り組み
担当栄養士が患者様のベットサイドに伺い嗜好調査を行い、お口に合った食事をお出しするのはもちろんですが、栄養状態を把握し病気の回復のお手伝いのため、患者様にとって一番必要な栄養を個別に提供していくことも私たちの大きな務めです。治療効果を上げて体力を増強し、笑顔での退院を願ってます。またNSTなどのチーム医療で地域医療を支えております。
栄養科発行の栄養科だより
入院患者様に提供される月々のイベントメニューのご紹介と栄養に関するミニ知識を掲載しています。
最新号は病棟に掲示してあります。またホームページでもPDFで閲覧できますので、最新号をチェックください。

ピックアップ
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2025.10.01
NST勉強会 ~リンについて~
令和7年9月26日、NST委員会主催で院内勉強会を開催しました。ゼリア新薬工業株式会社様をお招きし、「リン」について講演していただきました。特に「低リン血症」について詳しく教えていただき、低リン血症は重症度や症状等に合わせて、適切な治療が必要であることを多職種で学ぶことができました。リンは体内でカルシウムに次いで2番目に多いミネラルで、骨や歯の形成、細胞内のエネルギー産生など、生命予後に関わる重要なミネラルです。リンは乳製品や肉類などに多く含まれており、通常の食生活を送っていれば血中リン濃度が低下することはありません。血中のリン濃度は、腸管からの吸収、腎臓からの排泄、細胞内や骨との平衡によって一定の範囲(成人の正常値:2.5~4.5㎎/dl)に調節されています。しかし、腎臓からのリンの排泄亢進やリンの摂取不足、消化管からの吸収低下、骨または細胞内へのリンの移行などの原因により、低リン血症を引き起こしてしまうことがあります。重度の低リン血症(1.0㎎/dl未満)では、代謝性脳症による意識障害やけいれん、心不全、横紋筋融解症、呼吸筋障害による換気不全、平滑筋障害によるイレウスなどが起こる可能性があります。①血清リン濃度が2㎎/dl以上であれば経過観察、②1~2㎎/dlの場合はリン摂取を促し、効果が乏しい症例では経口リン製剤を投与する、③血清リン濃度が1㎎/dl未満や横紋筋融解症、心不全などの症状がみられる症例では、リン酸ナトリウム等を経静脈的に投与する等、重症度や症状に応じて適切な治療を行う必要があります。
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2025.02.10
NST勉強会 ~血糖コントロールについて~
令和7年2月4日に、院内の職員を対象にNST勉強会を行いました。今回は当院の糖尿病内分泌代謝内科 田辺隼人先生に講師を依頼し、「基礎から学ぶ 病棟における血糖コントロール」について教えていただきました。勉強会には、医師や看護師、薬剤師、検査技師、リハビリスタッフ、管理栄養士など34名の職員が参加しました。病院では毎日血糖値の測定をしていますが、勉強会の中で、インスリン製剤の種類ごとの作用時間を理解した上で、血糖値はその瞬間を点で捉えず、トレンドとして考えなければいけないことなど、多職種それぞれの視点から再確認する機会となりました。
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2024.09.11
NST勉強会 ~セレン欠乏症について~
令和6年8月29日、NST委員会主催で院内の職員向けに勉強会を開催しました。 今回は藤本製薬会社様をお招きし、「セレン欠乏症」について講演していただきました。勉強会には、38名の多職種のスタッフが参加しました。セレン欠乏症とは、血液中のセレン濃度の低下が原因で症状があらわれた状態のことをいい、特に長期間静脈栄養を行っている方やセレンを十分に含んでいない経腸栄養剤を使用している方などで生じやすいと言われています。今回の勉強会では、セレン欠乏症の症状や診断基準、治療方法などもご教授いただき、定期的に血清セレン値をモニタリングすることの大切さを知ることができました。セレンは必須微量元素の1つで、生体内における抗酸化作用や甲状腺ホルモン代謝調節などの重要な役割を果たしています。セレンは体内で合成することがすることができないため、外部から摂取する必要があります。食物中では、魚介類や肉類、穀類に多く含まれており、通常の食生活を送っていれば血液中のセレン濃度が低下することはありません。血液中のセレン濃度が低下したすべての方に症状があらわれるわけではありませんが、主な症状として、爪の白色化や変形、筋肉痛、筋力低下のほか、不整脈や頻脈を引き起こす心筋症などがあります。
